「事業」と「財務」は経営にとっての両輪です。どちらの視点が欠けても企業変革は成し得ず、資本市場からの眼を意識すること無しに経営を行うことはもはやできません。
しかし、そうであるからこそ改めて企業が営む事業の本質が問われているのではないでしょうか。自社が存在する「意義」にまで立ち戻って変革を考え、行い得るかが成功の要諦となると認識しています。
事業戦略の構築にあたっては、下記の三点を重視し、資本市場の評価にも耐え得る明確な将来仮説を作ることを目的とします。
-外部事業環境評価(政治・経済等の状況、業界と規制の状況、競合状況)
-内部経営資源評価(持続可能な優位性、その活用施策、事業経済性)
-パーセプションスタディ(第三者の眼から見た企業像と実像との乖離)
当社では、特に消費財企業、小売・外食関連企業、運輸・流通企業、金融業における個別事業戦略の企画・立案を得意としています。(事業戦略以外については、特に業種による差異はございません)
個別事業戦略が「営業キャッシュフロー」に効く薬だとすれば、グループ・全社戦略は、「投資キャッシュフロー」との関連がより高いとも言えるでしょう。
ここでは、経営企画部など本社部門が、あたかも「グループ内投資家」として、個別企業を評価、管理していく「事業ポートフォリオマネジメント」が重要になります。
M&Aなどによる事業の入れ替えや、事業間に共通の評価基準の設定など本社部門の機能の充実も課題となってくるでしょう。本社部門と事業部門が、あたかも健全な投資家と企業のように対峙する仕組を作り上げていくことが成功の鍵です。
特に、日本企業の多くは、負債と資本の違いを意識して使い分けることをしていません。また、それら負債や資本を調達して得る資産は、本当に保有すべきものなのか、といった点にも意外に無頓着です。
更には、日進月歩の金融技術に対して、企業の側の対応が追いつかない場合も多く見られます。有効な問題解決手段を見過ごしている場合も少なくありません。
当社は、個別金融商品を提供するサービスは致しておりません。その代わり、あくまでも中立的な立場から、各社の状況に最も適したバランスシートのあり方をじっくり考えます。
また、次世代CEOとして、経営全般の観点から財務戦略や経営資源配分を司るCFOを支援する「CEO/CFOサポート」についても合わせてご覧下さい。
財務戦略は、もちろん策定しただけでは意味がありません。様々な資金調達手段、或いは運用手段を駆使して当初の目的を遂げるべく実行を図っていかなければなりません。
御社の財務戦略に沿い、具体的な金融プレイヤーの選択や契約の結び方など、実務に即してアドバイスを致します。
M&Aは、今や経営戦略を実現するための重要な選択肢の一つです。その検討には、当然「経営戦略に照らしてやることが適当なのか」「買おうとしている対象は本当に自社にとって必要なのか」といった視点が不可欠です。
また、M&Aは新規事業投資の一つの形態であるとも言えます。従って、「新規に立ち上げるのと比べて、(ポストM&Aマネジメントまで含めて)本当に時間を買い、資源を買ったことになるのか」という視点も必要です。
然るに、多くの企業ではこうした検討は意外になされていません。M&Aの話が浮上したときには既にやることになっていた、とか、金融プレイヤーの持ってきた案件をそのまま俎上に載せた、といった、「決め打ち」「受け身」の取組が非常に多く見られます。そして、その結果、殆どのM&Aは失敗します。
こうした苦い体験をしないためには、経営戦略の根本まで立ち返って、中立的・客観的な立場から、M&Aの必要性と、それにかかる金銭的・時間的・人的負担を十分吟味することが不可欠です。
企業分析や、信用リスク評価を必要とするのは金融機関だけではありません。事業会社においても、企業間信用の管理や企業買収に関わる分析など、こうしたスキルが必要とされる機会は増加する一方です。
金融機関や格付け会社における豊富な経験を生かして、企業分析や信用リスク評価・管理についてのアドバイスを行うとともに、実際の分析・評価作業や管理体制の構築などをお引き受けします。
金融機関やファンドなどにおける投融資審査・企業分析・信用リスク評価のアウトソーシング、ビジネスデューデリジェンスなどのニーズにもお応え致します。詳しくは、「金融機関サポート」をご覧下さい。
-戦略構築の不足
-情報開示機会の不足
-相手方の見極め不足
IRは、過去の財務実績を語れば済むというありませんし、ましてや新製品の宣伝や、自社のPRを行う場でもありません。投資家は、「これから先、御社に投資するとどうなるか」を知りたいがために御社のIRに興味を持っているのです。
従って、IRの中身は「御社の将来に関する骨太なストーリー」でなければいけません。言い換えれば、投資家が提供しようとしている資金に関する運用方針を、きちんと語れなればならないということです。企業の場合、この運用方針が、「経営戦略」にあたります。この部分が論理的に構築されていなければ、投資家への説明責任を果たすことはできません。
また、「株価が低い」と嘆きながら、決算説明会を開いたこともない、という企業もありますが、これは投資家へのアピールのチャンスをみすみす捨てているようなものです。何千もの企業、或いは世界各国の市場を相手にしている投資家が、自ら説明の場を設けない投資先について、わざわざ好意的な解釈をしてくれることはまずありません。
更に、IRと言えば「株主対策」と思っている方が多いかもしれませんが、実は「負債投資家」へのIR(デットIR/Debt IR)も同様に重要です。負債投資家である社債権者、銀行などの貸出債権者も、御社の将来像をみながら金利負担の高低を決定しているからです。
こうした負債投資家に対して、御社の信用リスク情報を提供する格付け会社への対応も忘れてはなりません。特に、最近では格付けによる評価が一般にも定着し、金融機関の企業評価システムなどにも組み込まれるようになってきています。低い格付けのまま放置したりしておくことは、自社のリスクが上がることを指をくわえてみているのと同じです。(「格付けはなぜ下がるのか-大倒産時代の信用リスク入門」ご参照)
しかし、負債投資家に対して、株主に行うのと同じIRを行っていては、リスクの上昇は決して防げません。負債投資家も株主も、どちらも企業価値向上を願っている点では同じですが、資金の性質の違いから、企業を見る時のポイントが異なるためです。相手方をきちんと見極めなければ、効果的なIRにはなりません。(「Debt IR-新時代の戦略財務」ご参照)
当社では、この「三つの特徴」にフォーカスし、単なる外見的なメイクアップではなく、もともとの戦略構築にまで立ち返ってIRの充実を目指します。そのため、例えば格付け向上対策などでは、これまでに手がけた全ての企業で格付けアップを実現するなどの成果を挙げています。
なお、内容面の充実に重きを置いておりますので、株主判明調査や各種説明会のセッティングなどは請け負っておりません。必要な場合には、協力会社のご紹介を致します。
企業価値向上を旗印に掲げていながら、企業内部の経営管理体制は依然として「売上重視」だった時代のまま、という企業は少なくありません。
売上は増えたけれども企業価値は毀損している、といったことが起こらないように経営のモニタリングが的確にできる経営管理体制を構築することが必要です。例えば、事業リスクの質と量に応じた負債資本構成、或いは資本コストに見合った事業のリターン、といった、新しい時代に不可欠な要素を経営情報としてきちんと把握できているでしょうか。
また、そのためには組織のあり方も考える必要があります。企業価値向上をどの組織単位で測っていくのか、測ることが可能な組織になっているのか、責任と権限の設計は、などが十分吟味されていなければ、効果のある全社戦略とはなりません。
更に、最近ではLLC/LLPといった新しい組織の形態も認められるようになってきています。こうした幅広い選択肢も視野に入れながら、事業を進めるインフラの構築を進めていきます。
分社化やカンパニー制、事業部制などユニット分け、ユニット別バランスシートの構築と資本コスト計測、プロフェッショナルサービス部門の取り扱い方、EVA(Economic Value Added、経済的付加価値)やBSC(Balanced Score Card)の導入や見直し、業績評価制度の設計、リスクマネジメントなど、個別のニーズにもお応え致しますので、お問い合わせ下さい。「分社化に見るマネジメントプロセスの構築」もあわせてご参照頂ければ幸いです。「
企業統治というと、何やら「支配/被支配」をイメージさせるような語感がありますが、それよりも、このモニタリングがきちんと働いて、企業経営者に対する規律付けが正しく行われているかどうか、といったことが重要です。
もし、経営者が的確に事業を運営していなければ、投資家は、株を売る、議決権を行使する、更には買収をかける、といった形でモニタリングの結果を反映させようとします。こうした株主の「企業統治権の行使」は、今後も強まりこそすれ、弱まることはないでしょう。
企業経営者としてどのように対応していけばよいか、そのための企業内部の仕組はどうあるべきか、といった企業統治の要諦について、資本市場への十分な理解を基に的確なアドバイスを提供します。また、企業買収防衛などについても、弁護士・会計士等とのネットワークにより、その是非や具体策も含めてご相談にのることができますので、お問い合わせ下さい。
企業経営者に対してのモニタリングの「眼」は、企業経営者が、企業内部をきちんとコントロールできているか、という点にも及びます。「内部統制」というと、マニュアル化、システム化、などの対応策がクローズアップされがちですが、そうしたツールを如何に導入しても、経営者自身が内部統制の意味に気づいていなければ何の意味もありません。
また、内部統制は厳しければ全て良し、というものでもありません。過度な内部統制は、組織の硬直を招き、かえって企業価値向上の機会を失わせます。何が御社にとって最も適した内部統制のあり方なのか、御社固有の事情も踏まえて問題解決に取り組みます。
なお、マニュアル化やシステム化のお手伝いは致しておりません。また、監査法人については必要に応じてご紹介申し上げます。